ソフトシンセ「Vital」のプリセット追加・整理の手順を解説します。
- 最新版の Vital – 1.5.5 (Early access) に対応し、全面的に内容を更新しました。
- プリセットの整理についてのTipsを追記しました。
目次
はじめに:当記事について
当記事の内容は、最後に紹介する参考記事を和訳させていただいた部分がほとんどです。ただし、説明の便宜上あるいは最新版対応のため、筆者が一部内容を編集しており、原文とは異なる内容が含まれます。
- iMac (Retina 5K, 27-inch, 2020)
- macOS Big Sur (v.11.7.10)
- Ableton Live 12 Suite (v. 12.0)
- Logic Pro (v.10.6.3)
方法1:Bank(.vitalbank)をインポートする
.vitalbankファイルには多くのプリセットが入っています。場合によってはウェーブテーブル、LFOシェイプ、サンプルもすべて一緒にバンドルされています。
プリセットバンクをVitalにインポートするには、次の手順を実行します。
Vitalを立ち上げて、メニューから「Import Bank」を選択する。
ファイル選択メニューで、インポートする.vitalbankファイルに移動する。
プリセットが自動的にプリセットライブラリにインポートされている。
Vitalのプリセットブラウザ(上部中央のプリセット名をクリックして表示できる)に、最上位のフォルダとして表示されることが確認できる。
Tips:ファイルシステムとの関係
Vitalで表示されるプリセットブラウザは、ファイルシステム上の実際のフォルダと対応しています。自分で作成したすべてのプリセットも「User」フォルダに格納され、実際のフォルダにも保存されています。
※ プリセットブラウザで右クリック→「Open File Location(ファイルの場所を開く)」で実際のファイルの場所を確認することができ、実際のフォルダは以下の場所にあります。
Macintosh HD ▸ ユーザ ▸ (ユーザ名) ▸ ミュージック ▸ Vital
参考サイトでは下記のように記載されていましたが、筆者の環境では上記のディレクトリにあり、実際に機能していることを確認しました。
– Windows:“user/Documents/Vital“
– Mac:“Library/Audio/Presets/Vital”
方法2:単一のプリセット(.vital)をインポートする
.vitalファイルは、単一のプリセットです。インポートするには次の手順を実行します。
.vitalファイルで単一のプリセットを開いても、.vitalbankファイルと違って、ライブラリに自動的には追加されないことに注意。
プリセットを保存しない場合、Vitalのそのインスタンスを終了または削除すると、プリセットは削除される。保存したい場合は以下の手順でSTEP4以降まで行う。
Vitalを立ち上げて、メニューから「Open External Preset (外部プリセットを開く)」を選択する。
ファイル選択メニューで、インポートする.vitalファイルに移動する。
プリセットが読み込まれている。読み込むだけならここで完了。
ただし、この時点ではまだライブラリには保存されていない。Vitalを閉じたり、別のプリセットを選択したりすると消えてしまう。
現在のプリセットを保持して再利用したい場合は、保存ボタン、またはメニューボタンから「Save Preset(プリセット保存)」を選択する。
設定して「Save(保存)」。
プリセットブラウザにて「User」フォルダに保存されていることが確認できる。
「User」フォルダの整理については、後述の方法4参照。
方法3:単一のプリセットのフォルダ、または zipアーカイブをインポートする
「プリセットのフォルダまたはzipアーカイブが手元にある場合は、まずその形式で配信した人に文句を言ってください。次に、この手順に従ってください」(参考サイト直訳)。
フォルダ階層が次のようになっていることを確認する。
- [Bankname] / Presets / [Preset Files]
プリセットのフォルダがzipアーカイブでない場合は、1つに圧縮する。
- Windowsでは、banknameフォルダを右クリックして [Send to(送る)] → [圧縮(zip形式)フォルダ] を選択することで実行できる。
- Macでは、banknameフォルダを右クリックして「Compress(圧縮)」を選択することで実行できる。
zipファイルの名前を変更し、ファイル拡張子を「.zip」から「.vitalbank」に変更する(なんとこれで実際に機能します。.vitalbankの内部構造はzipアーカイブと同じです)。
- Windowsでは、ファイルが使用できなくなる可能性があることを警告されるが、無視してよい。
出来上がった .vitalbankファイルをインポートするには、上述(方法1)の手順で行う。
方法4:プリセットを手動で管理する
現状、プリセットブラウザ内にフォルダを作成することはできません。
大量のプリセットを作成して整理したい場合は、後述する手順によりフォルダを手動で作成し、通常のファイルシステムを使用して自分でファイルを整理することができます。
Vitalのプリセットブラウザで任意のトップレベルのフォルダ、またはプリセットを右クリックして「Open File Location (ファイルの場所を開く)」を選択すると、実際のファイルの場所を簡単に見つけることができます。
エクスプローラー(Windows) / Finder (Mac)が開き、目的のファイルまたはフォルダーに直接移動できるので、ここでフォルダ作成やファイルの移動ができます。
Tips:「User」フォルダの整理と限界について
「Vital」フォルダ内にカスタムフォルダを追加する場合は、必ず「Presets」フォルダを追加してから(これは任意ではありません)、.vitalプリセットをその「Presets」フォルダ内に配置してください。 これで、カスタムの最上位フォルダがプリセットブラウザ内に表示されます。
ただし「User」フォルダにサブフォルダを作成してプリセットを整理するのはうまく機能しないことがすぐにわかります。
カスタムプリセットをロードして内容を変更し、再度保存する場合は、ロード元に関係なく、常に「User」フォルダに保存されます。 これにより、変更されたバージョンがトップレベルに残り、古い変更されていないバージョンがサブフォルダーに隠れたままになります。
将来的なアップデートで、より包括的なフォルダシステムが追加されることを期待しましょう。それまでは、Vitalプリセットに適用できる「Style(スタイル)」タグを使用して、作成したプリセットにラベルを付けることで、1つしかない巨大なプリセットフォルダを比較的簡単にナビゲートできます。
Tips(筆者による追記):トップレベルのフォルダを手動で作成して整理する
「User」フォルダにサブフォルダを作れないけれど、単一プリセット群をもっときれいに整理したい問題の解決(妥協)案。
.vitalファイルでインポートした単一のプリセットについて、「User」フォルダではなく、同じくトップレベルの階層にフォルダを新規作成することで、.vitalbankファイルと同じような扱い方ができます(方法3参照)。
トップレベルの階層に、下記のようにフォルダを直接追加します。
(任意のフォルダ名) / Presets / .vitalファイル
つまり、ダウンロードしてきた単一の .vitalファイルについては
- Vital側でインポート作業して、勝手に「User」フォルダに入ってしまった .vitalファイルを後からファイルシステムを利用して整理する
- 最初から直接ファイルシステムで .vitalファイルを追加する
のどちらかのインポート作業を行います。
このように、まとまりのあるプリセット群(自作のコレクションや、単一でインポートしたプリセット群)はそれぞれ適宜手動で作成したトップレベルフォルダにまとめて、「User」フォルダは自作プリセットの一時置き場とする運用が一番整理しやすいと思います。
まとめ
覚えておくべき重要な点は以下。
- Vitalのメニューから、Bank(.vitalbank)をプリセットライブラリにインポートしたり、単一のプリセット(.vital)をロードして、ユーザーフォルダに保存したりできる。
- プリセットを整理するためには、ファイルシステムから直接ユーザーフォルダを編集する。
参考
本記事の翻訳元
Black Lotus Audio – How to Install Vital Presets – Windows / Mac
Vital 非公式マニュアル
執筆時点(2024年3月現在)で、Vitalには公式マニュアルがありません。
有志によるマニュアル(英語)が下記リンクからダウンロードできます。
Vital プリセット
解説スクショ用のサンプルに使わせていただいた配布プリセット。
Black Lotus Audio – Free Downloads