※ ちょっとだけ、ネタバレ注意。
『リメンバー・ミー』を観てきた。結論から言うと、今まで観た好きな映画ベスト3に入るほど良かった。
というのも、いまの自分の心境にぴったりくる「救い」のような物語だったから。
ボロ泣きした余韻に浸りながら、感想をつづってみたいと思う。
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この映画を観に行ったのは、今朝みた夢がきっかけだった。
1か月前に他界した祖父がでてきたのだ。
現実にはありえない設定のへんな夢だったけど、祖父が元気な笑顔をみせてくれたのがうれしくて、無理のある設定を飲み込んで、そのまま夢を見つづけた。が、しばらくして現実の物音で目がさめてしまった。
あ、やっぱり、いないんだなぁ。
取り残されたような、さみしさだけが残る。
ふと、母が休日に観た『リメンバー・ミー』を絶賛していたのを思い出した。仏壇に写真を飾ろうかな、と言っていた。悲しくなるから、まだ写真は飾れないと言っていたのに、どういう風の吹きまわしだろうか。とにかく、そういう心境の変化が生まれる可能性のある話なら観てみようかと、劇場へ足を運んでみたのである。
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『リメンバー・ミー』は、メキシコの「死者の日」(日本でいう「お盆」)をテーマに、時を超えた家族のつながりを描く物語。主人公のミゲル少年が、こちらの世界と死後の世界を往き来して、 冒険を繰り広げる。
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この物語を前にして、どうしても想起されてしまう出来事がある。
1年と少し前、実の父が旅立ってしまった。
覚悟していたつもりだったけれど、家族が死ぬ悲しみは、想像を絶するものだった。その時は、決壊した感情を抑えきれず、泣けるだけ泣いたつもりでいた。徐々に時間が悲しみを和らげてくれると信じて。けれど、その悲しみはなくならいどころか、時間とともに煙のようにゆるやかにその形を変えながら、いつまでもそこらに滞留している。失ってから気づく故人の存在の大きさに絶望する日々は、なかなか終わりそうもない。
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そんな中、この映画が提案する彼岸と此岸の世界観は、すこぶるポジティブである。
向こうの世界とこちらの世界は、つながっている。2つの世界はちょうど表と裏のように存在していて、そのどちらにいても、家族は互いを想い合っているのだ。
映画の中での向こうの世界は、文字通りこの世のものとは思えないほど美しい。その美しい世界には、こちらの世界と同じように、人々の生活の営みがある。そちらの世界で家族は再会し、そっちはそっちで楽しくやっている。実は彼らはこちらの世界にもときどき帰ってきていて、生きている者が向こうにいる家族に想いを馳せるように、向こうにいる家族もこちらの家族を想ってくれている。
この映画で描かれる彼岸と此岸がつながる美しい世界観が、家族の死という悲しみを癒してくれる「救い」に思えてくるのである。
生きている家族も、旅立った家族も、みんな大切な家族。向こうの世界にいる家族はわたしたちを見守ってくれているし、わたしたちも彼らの生前の思い出を語り継いでいく。
この世界観が本物であればいいのにな。というか、死後の世界って本当にこんなシステムになっている気さえする。
こちらの世界にいても、あちらの世界にいても、家族はちゃあんとつながっているから、大丈夫。きっと向こうでも父や祖父、祖母たちも、美しい世界で楽しくやっていて、そちらでわたしたちとまた会えるのを、ゆっくり待ってくれている。
生きる者に、そんな希望を持たせてくれる映画だった。
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『リメンバー・ミー』を口ずさみながら、家に帰ってきたら、わんこが玄関まで出迎えてくれた。そういえば、うちにもダンテがいる。
彼も家族を導いてくれているのだろうか。