時々、コンビニでどら焼きを買う。
手軽に糖分を補給できるので、根を詰めた作業のおともにうってつけのおやつである。
売り場によく置いてあるどら焼きを、銘柄など特に気にせず繰り返し買っていた。コンビニで買えるような流通品として作られた賞味期限の長いどら焼きに、そこまで期待をしていなかったから自覚できていなかったけれど、無意識ながら繰り返し買うというのは「悪くない」と思っていたのだろう。
「悪くない」というのは、そのことに自覚的になれば非常に肯定的な評価になり得る。コンビニで手軽に買えるあのどら焼きを、少なからず「美味しい」と感じていたことに自覚的になってついに「このどら焼きは美味しい」と初めて認識した。
改めてよく味わって食べると、賞味期限の長さに反して余計な味がしないし、皮もあんもすっきりとした甘さ。和菓子屋で買うような賞味期限の短いものと比べても遜色ないくらい美味しい。
そうなると、どこの会社が作っているのか。どんな原材料を使っているのか、色々と気になってくる。
パッケージの裏に記された製造者は「メイホウ食品」という、愛知県の会社だった。検索すると、しっかりと発信に力を入れた、誠実な公式サイトがヒットした。
なるほど美味しいわけだ。素材にこだわり、工程にこだわり、長年どら焼きと向き合ってきた会社だった。例のどら焼きの原材料は北海道産の小豆、すっきりとした甘さの氷砂糖を中心としたシンプルなもの。そして、美味しさへの並々ならぬこだわりで、まさに「美味しい流通品」として開発されたものだった。
「生どら焼きの専門店レシピに由来する」生菓子で賞味期限に耐えうる生地と餡のそれぞれに適した砂糖の絶妙な加減を徹底的に研究を重ねに重ねて、最も専門店に近い味わいを編み出したのが弊社のどら焼きなのです。
出典:お菓子のこだわり | メイホウ食品|どら焼き等和菓子の製造販売・OEM製造
こういうウェブサイトはありがたいもので、YouTubeに製造工程を上げてくれているので、オンライン工場見学ができてしまう(すごい)。
お菓子ができるまで | メイホウ食品|どら焼き等和菓子の製造販売・OEM製造
こんなの見てしまったら、手元のどら焼きに愛着が湧いて、さらに美味しく感じる。
こういった企業努力、ひいては「中の人」のこだわりと情熱を知ることで、何気なく出会った商品がよりありがたく、尊いものに見えてくる。
世界は何も変わっていないのに、自分の捉え方一つで、いつもと同じ日常がちょっと豊かになる感覚が、たまらなく好きだ。