今回は、DXBDW2017レポート、インスタレーション編です。
目次
- 1 インスタレーションを見るなら「デザインクォーター」エリア
- 2 ピックアップ作品リスト
- 2.1 Aidah – An Invisible City (by Boano Prišmontas & Ricardas Blazukas)
- 2.2 DUBAI (by Amrish Patel)
- 2.3 Prologue (by Fredrikson Stallard / SWAROVSKI)
- 2.4 Screen (by Lujaine Rezk & Albert Kolambel)
- 2.5 Serac Benches (by Zaha Hadid & Patrick Schumacher / Italian Lab.)
- 2.6 The Silent Call (by Khalid Shafar / Lasvit)
- 3 まとめ
インスタレーションを見るなら「デザインクォーター」エリア
Dubai Design Weekの会場である、デザイン街区「d3」。その中心部となっているのが、三角形の地形をしたDesign Quarter(デザインクォーター)というエリアです。
デザインクォーターは建物で囲まれたオフィス街になっていて、会期中は多くのインスタレーションが設置されます。その辺をふらっと歩くだけでも、社会実装を試みた最先端のデザインに触れることができます。
というわけでこの記事では、DXWDW 2017にて「d3」エリアに設置されたインスタレーションのうち、特に気になった6つの作品をピックアップしてご紹介します。
各作品の説明は、現地で購入した公式ガイドブックを参照しています。
ピックアップ作品リスト
Aidah – An Invisible City (by Boano Prišmontas & Ricardas Blazukas)
石油経済で躍進した中東地域が臨界点を迎え、独自の新しい魅力的なアイデンティティを創造していかなければならない時代。地域の将来の発展についての議論に積極的に貢献する装置として使用することを意図して制作された作品。
砂上のレンガに括り付けられた、50の黒い風船が宙に浮かぶインスタレーション。浮遊する球体は、ドバイの基礎要素でありアキレス腱たる石油を表現している。有限の石油資源によって作られた富の泡のように、都市は破裂したり浮き上がったりする可能性があり、原点たる砂漠の地にしっかり固定される必要が有る。
ぽわぽわと触れるアートで、現地では子どもたちに大人気。風が強いときは下の方に括り付けていて、展示メンテナンスはちょっと大変そうだった。
DUBAI (by Amrish Patel)
Apical ReformとAR Galleryが、ドバイの活気に満ちた精神をインタラクティブな公共彫刻として形にした作品。彫刻のデザインは、ドバイのイノベーティブ精神、そして自然のランドスケープからインスパイアされたもの。波打つアルファベットの形状は、UAE国旗と同じ赤色をした複数のレイヤーで表現されている。
Apical Reform, AR Galleryの創業者・代表者のAmrish Patel氏は、なんとクリエイティブ領域の専門教育を受けていないというのだから驚き。
Prologue (by Fredrikson Stallard / SWAROVSKI)
デザイン街区・Dubai Design District (d3)の真ん中に展示された、今回のイベントの目玉インスタレーション。世界的なクリスタルブランド、スワロフスキーとデザイナーとのコラボレーションで生まれた。
繊細にカットされた8,000以上のトパーズ色のスワロフスキーが、昼は太陽光を、夜はライトアップの光を受けて輝く。煌びやかなその姿は誰もが思わず足を止めてしまう美しさ。イベント中の撮影スポットとしても圧倒的な人気を誇っていた。
Screen (by Lujaine Rezk & Albert Kolambel)
イベントのメイン入口付近に設置されたインスタレーション。この作品は、伝統的なイスラム建築の象徴的な要素である木製格子・ムジャラビエの概念的な解釈にインスピレーションを受けている。ムシャラビエは、イスラム文化の本質的な側面である。内部は完全に見えず、住人の女性のプライバシーを守る一方で、外観は美しく見せる。
インスタレーションでは、視点によってさまざまなレベルのプライバシーを制御するというアイデアに焦点を当てたアーキテクチャ構造を示す。距離を介して構造的に配置されたフレームを重ね合わせると、デザインの中心に向かって不透明度が生じる。薄い生地を伸ばして張った木製フレームで構成されているため、ビジターはさまざまなレベルのプライバシーと日陰を体験できる。
伝統的なイスラム文化の本質を現代のデザインに組み込んだ作品。コンセプトがすごく好き。
Serac Benches (by Zaha Hadid & Patrick Schumacher / Italian Lab.)
座って休憩するための公共彫刻。幻想的な線状の表現は、都市の景観から現れてきたもの。各レイヤーがそれぞれに異なった軌道を描き最終的に集合する。
各レイヤーは全体的な正式な構成を生成するためにベンチの多くの地層を分散させ、
最終的に合体させる潜在力に反応して独自の軌道をとる。このデザインは、固体と空隙、物体と地面、形態と機能との関係を探求しながら、流体の連続性を再発見する。Zaha Hadidのレパートリーを通して、明らかに進化的な系譜である。
Serac BenchはZaha HadidとPatrik Schumacherによって設計され、The Italian Labによって製造された。
The Silent Call (by Khalid Shafar / Lasvit)
チェコガラスのブランド・Lasvitと、地元ドバイ出身のアーティストによるガラスのインスタレーション。イスラム教のモスクと、祈りの呼出(アザーン)にインスパイアされた作品。
ふわふわと色と明るさが移ろう光は、海底のイソギンチャクのよう。
まとめ
イベントの拠点となるデザインクォーターエリア。インスタレーションを眺めながら歩くだけでも、世界トップクラスの洗練されたデザインを楽しむことができます。