オオハシのLINEスタンプはこちら

【北海道地震】身の回りの被害状況と、ひとまず復旧するまでの記録。

2018年9月の北海道胆振東部地震。札幌市中心部近辺での被害状況と街が動き出すまでのことを、非日常の記録として残しておこうと思います。

地震当日:2018年9月6日(木)

深夜3時、突然の揺れ

長いような短いような、激動の1日だった。今まで経験した中で一番大きな地震だったと思う。地震の発生した深夜3:08頃には、考え事で眠れずに起きていた。

カタカタカタ…という小さな揺れが来てすぐにガタガタッ!と大きな揺れが来た。いつものよくあるような地震と違い「あ、やばいやつだ」と身の危険を感じて、ベッドから猫ひねりのように飛び降りた。大きな揺れが落ち着いてもしばらく建物がギシギシと音を立てて揺れ、船酔いのような感覚になる。

早朝から家族がドタバタ動く様子に、犬もただならぬ雰囲気を感じ取ったらしい。怯えきって、くーんくーんと部屋へ入ってきた。勝手にベッドへ上がり、スマホをいじる私の手に鼻を押し付けて、なでて、と寄り添ってくる。

初動、買い出しと情報収集

揺れが一旦収まり、これからどうしようかという4:00頃。母と、我が家で唯一の男手である弟は、マンションから近くのコンビニをはしごして水と食糧を調達してきた。ローソンは閉まっていたけど、セブンイレブンとセイコーマートでは店を開けてくれていたらしい。

▼ 飲み物と菓子パン、ビスコなどのお菓子と電池を入手。写真に写っているほかに、2Lのお茶や水が6本くらい。

一方のわたしは、iPhoneの充電を節約しながら安否連絡と情報収集をした。まずは避難所や給水所を調べて、紙に書き留めておく。が、この時点ではまだ情報が全然出揃っていなかった。

停電と断水

大きな揺れが来てから程なくして、自宅の電気と水が停まってしまった。断水はマンションゆえの問題だったようで、近隣でも、公園で水が汲める状況だったらしい。が、電気に関しては北海道全域での大規模停電だということだった。

最新情報を収集するために、ラジオはずっとつけっぱなしにしていた。いまはスマートフォンでもラジオが聴ける便利な時代だけど、停電時にはアナログなラジオがどれだけ心強かったことか。しかし、電気の復旧の見込みはまだないというニュースに肩を落とす。

電気がないと、驚くほどやることがない。スマホは停電時に唯一のオンライン端末なので、限られたバッテリーを節約しながら使う必要がある。PCはオフラインでなら使えるけど、スマホのバッテリーとしてとっておきたいし、Kindleは使えるけど、いつまでもつかわからない。緊迫した状況の中、ただ時間だけを持て余し、手持ち無沙汰に感じていた。ああ無力。

停電の中、街の機能はストップした。信号は止まり、地下鉄もJRも運休見合わせ、小中学校はもちろん全て休校。多くの会社も自宅待機となったようだった。

▼ 停電するテレビ塔。

疲れが出るも、眠れない

身体に緊張が走っていて、朝から何も食べていないのに、何か食べようとしても食べられる気がしない。結局、まともな食事もせずに日がなベッドでころころしていた。一睡もしていないのに、休もうとしても身体が硬直してうまく休めない。どれだけ寝ても疲れは取れず、緊張からくる肩こりでひどく頭が痛い。

全国的にはあまり報道されていないが、地震の前日、北海道では台風21号の影響で暴風が吹き荒れていた。札幌も被害が大きく、木や電柱がなぎ倒された。ものすごい音を立てて建物を揺らす強い風は、かなり怖かった。前日もほぼ眠れていないのに、今度は地震…。この日、多くの札幌市民が2日連続の寝不足だったはず。

▼ 北海道大も、台風の被害を受けた。

電気と水道の復旧

15時頃、電気と水道が復旧した。

市内中心部に住んでいることもあって、電気の復旧は最も早い方だったように思う。他の地域ではまだ停電が続いているので、節電を心がけつつ、ありがたくスマホを充電する。立て続けに起こる台風と地震に遭って寝不足で、ご家族もいるだろうに… ほくでんの皆さん、ありがとう。

奮闘するタピオカ店

反抗期の弟が、買い出しついでにタピオカを買ってきてくれたのにはほっこりした。いつもは機械で閉じているフタも、氷もない状態だったけど、まさか停電のさなかにタピオカ屋さんが営業しているとは。

この日の日記。

地震翌日:2018年9月7日(金)

復旧へ向かう街

小さな余震は断続的に起こっているけれど、みんなの頑張りで少しずつ街が復旧しようとしている。充電場所や炊き出し、給水の情報も充実してきた。

地下鉄・JRはまだ動かない。今日も普通に出勤するのは難しそうだ。

家庭への電力供給は、まだのところも多いらしい。隣の江別市に住む親戚も、昼頃の段階でまだ停電中だと言っていた。同じ札幌市内でも、電気復旧のタイミングにはかなりのばらつきがあり、この日の夜を停電状態のまま迎えた地域も少なくない。

時間差でくる、食糧問題

次に、食糧調達の問題を考える必要が出てきた。地震直後の食事は、冷蔵庫の中のものと、コンビニへ駆け込んで手に入れた食糧で賄える。問題は、その後。

米のストックがちょうど切れるところだったので、これから炊ける分がほぼ残っていない。電気・水道が復旧しているので調理はできるけれど、交通網が麻痺しているから物資が手に入りにくい状況は依然として続いている。生産と物流がストップして、コンビニもスーパーも空になる。

とはいえ、家にあるものでまだしばらく食いつなげる。いつもと同じような食事は難しいけど、カップ麺やパスタ、おにぎり、菓子パン、お菓子などはある。停電からの復旧も早かったので、冷蔵庫の中の食材もまだ食べられそうだった。肉や魚は入手しにくいので、常備していたプロテインが貴重なタンパク源として安心感につながった。

生活をミニマル化するリスク

こういった非常事態に遭遇してみて、ミニマリズムの徹底は危険だと感じた。あまりにも災害に脆すぎる。特に都市部での一人暮らしであれば、普段は全て外食にしている人や、必要最低限の食品しか置かない人も多いと思う。が、いざという時、数日分の食糧や生活用品の備蓄がないと、自分で自分の身を守れない。

一度想像してみてほしい。近隣のお店が今すぐ空っぽになっても、自分の食事を自分で賄えるだろうか?ジャンクな食事でもいい、まずは家にある食品で一日に必要な摂取カロリーを満たせるようにしておく必要を感じた。

それから、手持ちのお金を全て電子化するのも危ない。予備として忍ばせておくでもいいから、手元に現金がないと停電時の買い物ができなくなる場合がある。

仕事場の被害状況

自宅の被害はほとんどなかったけれど、仕事場の方は地盤が悪かったのか、かなりひどい状況になっていた。こまごましたものが多かったのと、固定していないものが多かったこともあるかもしれない。荒らされたかのように引き出しが飛び出て、置物は落ちて割れ、本は散乱し…という状態。

弟、食料調達で意外なセンスを発揮

午後になって、弟が物資を調達してきてくれた。普段なら「買い物」だけど、こういうときは「調達」という表現になる。

コンビニは営業しているところもあるけど品薄。一部のスーパーが営業を始めていたので、最寄りの店舗に行ってきてくれた。多少並んだみたいだけど、割となんでもあったとか。大きなリュックをパンパンにして帰ってきた。

▼ 肉、野菜、米など取り揃えた、なかなか気の利いたチョイス。弟、やりよる…。

▼ 電気が復旧しているのでお米は炊けるのだけど、精米は売っていなかったとのこと。サトウのごはんと、パスタ。

▼ お肉は、選ぶほど種類はなかったらしい。鶏もも・鶏むね・豚バラを1パックずつ入手。

▼ レトルトカレーと、カルボナーラのもと。

▼ バナナは、今すぐ食べる用(シュガースポットあり)と、数日後に食べる用(シュガースポットなし)を1房ずつ。まさかの細やかな配慮。

▼ 梨とオレンジ。

▼ 野菜各種と、きのこなどなど。

あとでよく見てみたら、野菜各種の袋の中に、アボカドが2つ入っていた。最近、良質な脂質を摂るべく、毎朝アボカドを食べているのだけど、家族でアボカド食べるのって、私だけなんだよな…。

弟よ…!!

ありがたや。

この日の日記。

地震2日後:2018年9月8日(土)

日常を取り戻していく

すっかり曜日感覚がおかしくなっているけど、やっと世の中が日常を取り戻しつつある。仕事関係の連絡が来始めたのは、この日から。土曜日だけどね…。

大好きなお店も、みなさん奮闘しておられる。

▼ Brown Books Cafeさん。

▼ コーヒースタンド28さん。

▼ COJICA COFFEEさん。

ほかにも、北電やお役所、病院に勤める友人・知人も仕事場に詰めている。付近の飲食店も炊き出しをしたり、わずかな食材がある限り、売り惜しみせず提供してくれていた。地域のピンチに、こうして「与える」側の人間として、尊い日常を支えている方々が輝いて見えた。

自分は与えられてばかりで、みんなのためになることを全然できていないなあと、なんだか恥ずかしくなってくる。ささやかな行動として、こうして記録の文章をつらつらと書いてみるということをしている。

FP試験中止

実は翌日9日(日)に、FPの受検を予定していた。お知らせが出るまで時間がかかっていたので気がかりだったけれど、やっぱり中止。ですよね。

【重要なお知らせ】北海道胆振東部地震に伴う北海道の会場における9月9日1級・2級・3級FP技能検定試験の中止について | 日本FP協会

上記会場で受検を予定されていた受検者の皆様におかれましては、9月9日の試験を受検することが出来ません。  中止決定のご案内が遅くなりましたことを深くお詫び申し上げますとともに、事情ご賢察のうえ、何卒ご了承賜りたく、お願い申し上げます。同会場での受検を予定されていた皆様には、今後の対応につきまして、決定次第弊会ウェブサイト等にてご案内いたします。 …


この日の日記。

その後

しばらく、コンビニやスーパーで品薄の状況が続いた。特に品薄状態が長引いたのが、ヨーグルトと納豆。無いとなると、どうしようもなく食べたくなってくる人間の性。いつでも買えて、しかも好みの銘柄を選べるって、すごく幸せなことだったんだなあ。

最後に。この地震で自らも被災しながら、復旧のために動いてくださった皆様には本当に感謝します。ありがとうございました。

スポンサーリンク