
時が経つのも忘れて部屋で寛いでいたら、とっぷり日が暮れてしまった。
食事はどうしようか。館内に天ぷらの名店が入っているから、奮発して行ってみようかと思ったが、内線で連絡すると予約で一杯とのことだった。山の上ホテルで天ぷらを食べたかったら、宿泊でも事前予約はしておいた方がいいようだ。
特に天ぷらにこだわりもなかったので、特に気落ちすることなく、同じく館内の「コーヒーパーラーヒルトップ」ヘ行くことにした。こちらは予約も必要ないだろうと見て、そのまま行ってみた。案の定、わたしの他には外国人の夫婦が一組だけ。ランチやカフェの時間なら、お客さんも入って賑わうのだろうが、夜にわざわざコーヒーパーラーで食事する人は少数派なのだろう。広い店内はがらんとしている。

天ぷらではなくなったぶん豪遊できるなあ、などと考えながら、文豪が愛したらしい小海老のロングマカロニグラタンと、グラスの白ワインを注文した。乾杯する相手もいないけど、乾杯、と心の中で唱えて一口いただく。
ほどなくしてグラタンが運ばれてきた。フォークを刺し込んだ感触ですぐに気づく。長い。マカロニが長い。手の平くらい長い。確かにロングマカロニである、しかしなぜロングである必要があるのか…?その意味は全くわからないまま、二つ折りにして食べる。素朴な味のベシャメルソース。王道を往くスタンダードなグラタンだ。エビはプリプリ、たっぷりのったチーズが伸びる。

正直、グラタンでお腹いっぱいになってしまったけれど、コーヒーパーラーヘ来てスイーツを食べないという選択肢は無い。甘いものは別腹。ケーキは重いから、さっぱりツルリとしたものが食べたい。プリンと迷って、やっぱり最近ハマっているコーヒーゼリーを追加注文する。
このお店では、じっくり12時間かけて抽出する水出しコーヒーが売りらしい。「水出しコーヒーゼリー」と冠している通り、その自慢のコーヒーを使っているという。このコーヒーゼリーも、やはり王道である。クラッシュさせたゆるめのコーヒーゼリーに、さっぱりバニラアイス、ミントのトッピング。

美味しいものでお腹を満たしてすっかり満足する。部屋に帰りがてら、売店を覗いてみた。売店といっても、フロント脇に鎮座するレトロなショーケースに、ちょっとしたオリジナルグッズがいくつか収められているくらいのこぢんまりしたものである。お目当てだった、ホテルキーを模したミニキーホルダーを探したが、置いていなかった。本物を拝めたから仕方ないと思いつつも、やっぱり記念に持ち帰りたかったから、つくづく残念に思う。再販してくれればいいのになあ。
▼ お土産じゃなくて、本物の方のキーホルダーはこんな。ごろんとしたアクリルが美しい。

でもせっかく来たから何か買って帰ろうかなと物色する。じっくり迷って、かわいい缶が好きな母のおみやげにはレトロな模様がおしゃれなキャンディ缶を。自分用には赤いブックカバーを買った。

部屋に帰ると、いつの間にかもう今日が終わる時間になっていた。あとはお風呂に入って、絵日記を描いたら寝よう。
良いものは良いんだなあ#今日のオニオオハシ pic.twitter.com/OJDWvbW7no
— パル (@rupaling) 2018年2月22日