パル@IVRC2015『ニョキニョキ豆の木』の中の人です。
IVRCシリーズ第5回は、決勝大会直前特集!今からでもやっておきたい展示対策を紹介します。
今年以降、IVRCでは審査方式等に大きな変更があったようです。詳しくは公式の最新情報を参照してください。また、当記事はコンテスト形式の旧IVRCについて書かれたものですので、参考にする場合は十分ご注意ください。
目次
1. 故障に備える
大前提として、作品は壊れます。
- 審査員の先生の体験中に限ってデモが動かない
- 機材の扱いに慣れない一般のお客さんが乱暴に扱ってしまう
- 体験者数が多すぎて機材がもたない
というのは、展示あるあるですね。
- 壊れやすいのはどこか
- 各種機材・部品のスペアはあるか
- 実際に壊れた場合にどう対処するか
ちゃんと想定してあるでしょうか。機材や部品はそこらへんで買えるものばかりではないはずです。こういった展示では、壊れるのを前提に準備しましょう。
2. 安全に万全を期す
何といっても安全第一!
万が一の落下や転倒の危険があるなら、マットが必要です。水を使う展示なら防水対策、食品を使う展示なら衛生対策。展示形態に合わせた安全対策を徹底しましょう。壊れる前にメンテナンスする段取りをつけておくのも重要です。事故を未然に防ぐことを最優先に。
それから、忘れてはいけないのが、体型の差と、耐荷重の想定。例えば、子どもが来てくれたときの安全なセッティングは確認してありますか?体重の重い人は?しっかりチェックしておきましょう。
3. デモの体験設計をする
実装して終わりではありません。その作品、体験設計までできていますか?
では、体験設計とはどういうことか。この重大トピックをものすごくシンプルに捉えると、白井先生が言及されていた「体験中は黙れ」ということに集約されると思います。
ほとんどの作品で指摘させて頂いたのは#体験中は黙れ!
せっかく没入させてヘッドホンまで付けているのに体験開始後も注意事項や解説や、未完成の言い訳をし続けるのは何故か?
日本語で説明が必要な体験になっていないか?あなた自身が邪魔になっていないか?他人で練習したか?#IVRC— Akihiko SHIRAI, Ph.D (@o_ob) 2015年10月25日
#体験中は黙れ!
には実は前後で重要な要素があって、#体験の前側
なぜここに並んでいるのか?何者なのか?何を期待しているのか?#体験の後ろ側
余韻を味わう長さは体験者の経験によって異なる。何を作品のゴールとするか?ゲーセンバイト、USJやジョイポリスで身体で学んだ。
— Akihiko SHIRAI, Ph.D (@o_ob) 2015年10月25日
少なくともこのことを覚えておけば、より伝わる展示になるはず。作品で語る工夫をしてみましょう。
ちなみに、面白さの仕掛け方は白井先生の著書の中で丁寧に取り上げられていました。もっと早く読んでおけばよかった…!
4. ブースデザインを工夫する
前項にも関わるところですが、せっかく頑張って制作した作品、その見せ方を考えてみましょう。
昨年も、システムを説明するパネルを用意しているチームは多かったように思います。が、手が回るなら他にも色々できることはあります。参考までに、うちのチームでやったのはこんな感じでした。
- ディスプレイを置いて導入ムービーを再生(ストーリー設定の口頭説明を避ける & 待機列対策)
- 待ち時間表示用にミニホワイトボードを設置(待機列対策)
- 機構のフレーム後ろにロゴを配置(写真を撮ったら、背景にロゴが映る)
- チームTシャツ制作(スタッフを判別しやすい)
チームで手が空いたメンバーがいれば、できることはやっておくに越したことはないです。このくらいだと、1〜2日前くらいに思い立ってやり始めても終わるはず。特に、Laval Virtual賞狙いなら、デザイン面にも多少気を配っておくといいと思います。国際ウケ的な意味で。
5. アピールポイントをチーム内で共有する
審査員の先生に何をアピールしたいのか、チーム内で共有できていますか。
IVRCにおける審査のポイントは以下の3つ。
- 新規性
- 技術的チャレンジ
- 体験のインパクト
これらを作品の中でどのように達成しているか。
それから、予選からの改善点も、審査員の先生からよく聞かれる質問の筆頭です。チーム内で必ず確認して、共有しておきましょう。
6. 記録の準備
これは口を酸っぱくして言っているのですが、写真や動画、テキストできっちり展示の記録を残すこと!これ大事。特にIVRCで決勝進出しているくらいなので、受賞作になるかもしれませんし。
効果的に記録をとるためには、事前の準備が必要です。記録の取り方についてはこちらの記事で詳しく書いています。
7. 持ち物リストを作る
言わずもがな、忘れ物すると悲惨なことになります。荷造りするときには必ず持ち物リストを作って管理しましょう。予備を持って行くのも忘れずに。
8. 女性対応について想定しておく
これ、当日気づいて結局何も対策できていないチームが多いです。特に注意したいのが着用するタイプの展示と、乗るタイプの展示。
例えば、着用するタイプの作品で、デバイス着用の際に体験者のお腹や太ももの辺りを触る必要があるとか。乗るタイプの作品で、スカートを履いているとセクシーな体勢になってしまうとか。
『ニョキニョキ豆の木』は後者の典型例でした。対策としては、貸出用のズボンを用意しました。ただ、これがベストな対策だったかというと微妙なところ。というのも、さすがに着用スペースまでは用意していなかったので「その場での履くのはいや」という方にはトイレまで行って着替えてもらうしかありませんでした。
それでも「あっちのデモを体験をするためにズボンを貸して欲しい」と言われることもあったので、何も準備しないよりはマシかと思います。が、もっと良い対策あればぜひ試してほしいです。
実際に対策するか否かは各チームの判断によりますが、いずれにせよ想定はしておいた方がいいと思います。スカートお断りにしようにも、女性の審査員がスカート着用という状況もあったりするので。
まとめ
以上、1週間前でも間に合う決勝直前対策8選でした。参考までに、IVRC審査員でもある簗瀬さんによるこちらの記事もご紹介しておきます。
学生さんに知って欲しい研究展示の際に気をつけるべき7つの事
私は企業所属の社会人研究者なので、学生さんを指導したりする機会は今のところないのだが、研究室公開や研究発表会などを見に行く機会は多く、そこそこの頻度で学生さんと接している。 そうした研究発表会は、荒削りながら斬新な発表に触れ、未来の研究者足る学生さんたちの熱意を感じる事が出来るため非常に面白い。 …
今年も素敵な作品が生まれますよう。IVRC参加者のみなさん、がんばって!