ダンガンロンパシリーズの小高和剛氏がシナリオ・ディレクターを務めた作品『デスカムトゥルー』を、夜な夜な一気にプレイして全メダル回収まで一気にやり尽くしました。
またとんでもないゲーム作ったなぁ、というのが素直な感想で、良いゲーム体験ができたので、ちょっとした感想を残しておきます。
巷のレビューでは賛否両論あるようですが「プレイヤーが何を期待してこのゲームをプレイしたか」で印象が大きく変わる作品だと感じたので、その辺の話をしてみます。
なお、本記事にネタバレはありません。
目次
『デスカムトゥルー』とは
作品の雰囲気を知りたい方は、公式のこちらの動画をどうぞ。
本作は一切のネタバレが禁止されており、Switch版ではスクリーンショットを撮ることもできない仕様になっています。
実際、ネタバレを踏むことで初見プレイ時の楽しさを大きく損なってしまう性格の作品なので、迷っているならまずやってみることを強くおすすめします。
ゲームの要素を取り入れた「インタラクティブな映画」
この作品はインタラクティブな映画と捉えるのが妥当に感じます。「映画のようなゲーム」というよりは「ゲームのような映画」の方が近い。
ゲームとしてのボリュームとしては割と控えめで、全エンディング・メダル回収までに要する時間は3〜5時間程度。
この作品を「ゲーム」だと思って始めると、あっさり終わってしまう印象を受けるかもしれません。じっくりと腰を据えてやり込む骨太なゲームを期待していた生粋のゲーマー層にとっては、物足りなさを感じてしまうのも無理はないでしょう。
一方、最初からこの作品を「映画」と捉えてプレイしていると、お腹いっぱいになるのに十分なボリュームがあります。自分で操作するインタラクティブ性が加わって、リッチな映画体験として満足度の高い作品と感じました。実際、ソフトの価格もダウンロード版で1,960円と映画に近い設定で、ゲームとしては安いですね。
レビューで言及される「ゲーム初心者向け」の意味するところ
このゲームのレビューでよく見かけたのが「ゲーム初心者向け」という表現です。が、わたし個人の見解としては、一概にそうとも言えないと思っています。
レビューで言われる「ゲーム初心者向け」というのは、先に述べたような「ゲームとしての難易度とボリューム」のことを指していると考えられます。
具体的には、
- インタラクティブ要素が限定的で、操作が容易である
- エンディングまでの道筋が掴みやすい
- 所要時間が控えめで、やり込み要素が少ない
という意味合いなのでしょう。
確かに、ゲームとしての難易度とボリュームでは明らかにライト層向けかなとは思うのですが、やっていること自体は周回を前提としたハイコンテクストなもので、けっこう玄人向けな印象を受けます。日頃からゲームに触れていて、文脈を知っているゲーマー側の発想です。
ネタバレにつながるので具体的なことは言えませんが、ゲームならではの驚きを用意してくれているよなぁ、という仕掛けが随所にありました。
ゲームとしての難易度とボリュームの面では初心者向けと言えるかもしれないけれど、体験の本質としては、ゲームというメディアに馴染みのある玄人向けの側面を感じます。
一点だけ、個人的に度し難いポイント
個人的にどうしても度し難いポイントについて、ネタバレはしないけど匂わせに感じてしまうかもしれないので、一応袋とじで。
総評
この作品に関しては、何を話してもネタバレになってしまうのでこの辺で。気になっている方は、とりあえず勢いで一気にやってみてほしいです。
メジャーな俳優さんを起用した比較的大衆向けの作品ながら、ゲームのインタラクティブ性を映像作品の世界に持ち込むメディア表現がうまくコンパクトな体験に落とし込まれていて、面白い作品でした。