文学フリマ札幌11に出店しました
お疲れさまです。だいぶ出遅れました。
どうしても締切ギリギリに追い込む性分が今回も出てしまい、前日夜まで根詰めて作業したその勢いで出店を終えて、しばらく完全に燃え尽きていました。
全力で駆け抜けた先のこの虚脱感に、ある種の快感を覚えている節があるのでまずい。しかし困ったことに、追い込むほどにパフォーマンスは上がり、そして経緯はどうあれ帳尻合わせて締切は守る人間ゆえ、変に成功体験を積んでおりやめられない。コツコツタイプじゃなくて毎度限界化しているのがハタから見ると意外らしく、出店仲間のせなちゃんに「ほんまおもろい」と言われ続ける。ほんとね、どうしても締切に追われたくなっちゃうんだよね。
ともあれ、まずは当日ブースにお立ち寄りいただいたり、お話ししてくださった皆さま、ありがとうございました!
ざっくり振り返り
備忘録的に、当日の振り返りを。
買ったもの

エッセイ、日記、詩、評論、小説、漫画と、今回は色々なジャンルの作品が気になって購入しました。どれも作者の熱意や偏愛、固有の体験や考えを感じて興味深いです。のちのちXで感想ポストしていくかも。
嬉しかったこと
- 会いたい人たちにみんな会えて、欲しかった本も一通り買えた。札幌の出店仲間はほぼ勢揃い、道外の方も遠路はるばるいらっしゃいませ
- 価格やコンセプトの面でかなり厳しいと予想していた新刊が、ちょくちょくお手に取っていただけた
- 新刊のアートワークが好評で、本職デザイン系の方からもお褒めの言葉をいただく
- 自身初の寄稿参加、GAMEBOYZさんの『SASSON2』が刊行。大好きな作品の第2弾に参加できて、素敵に取り上げてくださってうれしい。貴重な機会をありがとうございます!
- 歯の苦労話で大いに盛り上がり、お友達ができる。本からの出会いっていいよね。親知らずの話を書き溜めてあるので、そのうちどこかに出します
- 1年前のこの場で出会った大好きな作品の作者さんが今年も出店していて、直接感想をお伝え。最高に好きですほんとに。その後うちのブースにも来てくれて、まさかのファイターズ好きということで『BALLPARK!』をお買い上げいただく。感無量。
- 今回も会場をぷらっと歩いて琴線に触れる作品に出会ったり、初対面の書き手さんと新たに交流が生まれたりして、やっぱり時折イベント出てみるの良いよねとなる
反省したこと
- やっぱりどうして全てがギリギリになる。余裕を持って準備し始めたつもりが…
- 寝不足で普段以上に頭が回らず(言い訳)、気の利いた会話ができなかった。本当はもっとゆっくりお話ししたかった場面が多数、ごめんなさい
- 既刊の訴求が足りなかった。特に札幌かつプロ野球シーズン中で『BALLPARK!』は潜在的な需要が見込める中、アピールできずもったいなかった
- 設営と撤収がまだまだ遅すぎるので最適化していきたい
- 差し入れお菓子の用意を忘れて、もらってばかりだった。貴重な糖分ありがとうございます
新刊『North City – 札幌、帰路にて』
今回が初出しとなった新刊(新譜)がこちら、『North City – 札幌、帰路にて』。

星は瞬き 風は涼やかに
浸るこの日に さようなら
下り坂駆け 地平線の先
来たる季節よ また明日North City 歌詞
札幌の夏の夜をテーマに、CDサイズの小冊子とデジタルシングル『North City』がダウンロードできるカードがセットになった作品です。ミニセットとフルセットを用意しました。
セット内容
新刊ミニセット ▶︎ 1,200円
冊子、楽曲DLカード、シールセット
新刊フルセット ▶︎ 1,500円
冊子、楽曲DLカード、シールセット、楽譜(リードシート)、オリジナルクリアファイル

冊子はCDサイズのリバーシブル本になっていて、SIDE Aは楽曲『North City』のセルフライナーノーツ、SIDE Bはエッセイ『札幌、帰路にて』を収録。
収録曲は学生時代に書いた楽曲『North City』をリメイクしたもので、ボーカル入りDeep House風の『North City – feat. Nakuru』、インストJazz House風の『North City – for jazz players』の2つのアレンジを書き下ろし。
Bandcampにて試聴・ダウンロード購入ができます!
楽曲は後日ストリーミング配信を行う予定です(1曲目だけになるかも)。新刊セットの通販も調整中です。
ついでに、新名義・palsonikと、新レーベル・Ohashi Recordsをしれっと作りました。自分の制作モードの切り替えとして落ち着くようにやっているだけなので、呼ばれ方にこだわりはなく、クレジットいただく際はどの名義でも構いません。
昔作ったこの曲をリメイクして、アートワークとエッセイを添えてパッケージングしようというのは長年あたためていた構想で、どうしても作品と一致する「夏の札幌」で発表したいと機をうかがっていました。文学フリマ札幌がちょうどドンピシャの時期だったのでここで出すことに。

クリアファイルの裏側にさりげなく印刷してあり、濃色の紙を挟むと見える仕様。
▼ 当初、Houseサムネ風に丸くダイカットでくり抜いた黒いカバーをつけようとしていたのですが、あまりうまくいかなくて、実物の表紙の仕様が告知画像から少し変更になりました。悪しからずご了承ください…
作品の価値をどう定義するか問題
出店の記録は大方終わり。
ここからは準備の過程でうねうね考えていたことで、少し長いので気が向いたらお付き合いください。
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新刊セットの価格について。ギリギリまで迷って値付けをしました。新刊ミニセット1,200円、フルセット1,500円という価格は、文学フリマにおいてはかなり高い方だという自覚があります。冊子自体は16pとかでペラいし。
ただ、実際にかなり原価と手間はかかっています。
まず原価の単純計算で赤にならない最低ライン、そこにCDとレコードを模した体験デザイン、ダウンロード音源・楽譜による付加価値をゼロには計上したくない、といったことも加味して自分が販売してモヤモヤしない価格でとなると、最低限で見積ってこれくらいの価格になる。シングルCDよりはちょっと安いけど、ZINE としてはページ数比で高め。果たして文学フリマの場で許容してもらえるだろうか?
この価格に加えて、受け手に対して「読んでくれ」、「聴いてくれ」とお金以外のコストも要求していて、手に取っていただくハードルはかなり高い作品だったと思います。そもそも文学フリマというのは活字が読みたくて来ている人がほとんどなわけで、面倒なこと求めすぎかもしれません。
それでも「この作品にこの価格の価値を見出して、一緒に面白がってくれる人が一人でもいれば十分」と割り切って、今回は市場度外視でエゴを通しました。これが「自らが〈文学〉だと信じるもの」ではあるので、実験的にでも出してみようと。許容されなくてもまあいいかという判断。
結果、数名の友人知人、そして当日お話しして興味を持ってくださった方々が買っていってくれました。ありがたい限りです。
もしかしたら中には付き合いで買ってくれた人もいるのかもしれないけれど、もちろん何も買わないというのも自由ですからね、琴線に触れて、価格に納得いけばということで。ご縁をきっかけに初めて気になる場合もあるし、本当に読みたいものは買うけれど、単に付き合いだけで「相互買い」みたいなことをしないのを誠意と思って、私も実行しています。買ったからには読みますし、買わなかったからといって自分のツボではないだけで、取り組み自体は面白いと思っていることがよくあります。
コンテクストを共有する
で、「自己満足で作ったものだったけど、何人か買ってくれたね、よかったね」で終わりではなくて。今回はかなり本質的なところで創作欲が満たされる出店体験だったと思います。こういうことがやりたかった。
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文学フリマ広島で、初めて作ったタンゴ本を持って初出店したとき、机上のこの一作だけでは、他でもない私がこれを作る意味を提示できていないと感じました。文脈に照らして、私がこの作品を作る必然性があってほしい。音楽をやっていて、旅が好きで、オオハシを描いていて、アカデミア畑で執筆やもの作りをしてきた背景があって、そういう人間が「タンゴを聴きに行く」からこそ、ああいう表現になるのだと。
買い手側として他ブースを見ていても、机上に並ぶ作品群から、その人の美学や世界観を感じられる出店が好きで、その波長が合う作品に出会いたくて、私自身もそうありたいと願ってきました。今まで出してきた過去作の轍があって、その上で新作が出てくる。題材は様々でも、脈絡がないわけではない。重ねてきた作品を通じて「ああ、こういうことをやりたい人なのね」といった文脈が見えてくるのが美しいと感じるし、そういう出店をしたい。
そのためには当然作数を増やしていく必要がある。普段の活動や会話を通してコンテクストを提示して、創作の取り組み自体に着目してもらうことも。作品単体の「点」としてではなく、作風や活動の軸といった、「線」や「面」で語っていきたい。
本気でやるなら制作過程とか発信するべきとは思いつつ、なかなかそこまで手も回らず、できる範囲でちまちまやっている活動ではありますが、オオハシ文庫を初めて4作目、少しずつ、文脈だとか作家性のようなもの、コンテクストを感じてもらえるようになってきたのかもしれません。というのも、今回は作品単体の評価というより、これまでのオオハシ文庫の活動をすでに知ってくれている方や、当日その場の会話で、分野横断的に創作しているという背景に関心を持ってくれた方が手に取ってくれる傾向があったから。
そう、ブランディングというよりは、関係性を作るとか、ラポールを築くとか、そういう意識の方が強いかもしれない。作品単体で引きを強めるより、文脈から興味を持ってくれた人の「なんかおもろいことやってそう」な信頼を得ていきたい。
オオハシ文庫での活動は、いつも「これを作らずにはスッキリできない」みたいな構想や衝動があって、まず他でもない自分のために作っていて、そこに少しの社会性を付与して…というやり方をとっています。旅行記、エッセイ、野球観戦ログ、絵日記、音楽。いろいろ手を広げつつも、自分の中では根底で繋がっている。熱量注ぎ込んで形にして、限られた人数だとしても深く刺さって共感してくれる人がいてくれたらうれしいです。感想はいつも励みになっています、ほんとにありがとうございます。
相変わらず「たくさん売る、多くの人に届ける」という方向の努力があまり得意でないので、全然ペイするような収支ではないけれど、私にとって持続可能な創作の形ではあって、健全な活動なのかなと思っています。少なくとも今はそういうモチベーションで作り続けられている。
今後のこと
本当は文学フリマでもう1冊出したいと思って執筆していて、もう少し色々詰めたくなって見送ったのがあるので、とりあえずそれを形にしたいと思っています。オオハシ文庫初の、文章だけの本が出る予定です。旅シリーズも2作分ほどネタが積んであるので消化したいですね。

がんばるぞ









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